仕事をしている人であれば銀行や消費者金融のカードローンで簡単にお金を借りることができますが、無職の人こそ生活のためにお金を借りたい人が多くいます。実はお金を借りる方法はカードローンだけではなく、国や行政の支援という選択肢もあります。
また、内定が決まっている人がお金を借りることができるローンも存在しています。新生活のためにはいろいろお金が必要になりますが、こうしたローンをうまく利用して仕事を始める準備をするのも良いでしょう。お金を借りると必ず返済が必要になりますので、今無職の人も就職までのつなぎとして利用しましょう。
目次
年金受給者必見!収入が年金だけでも借入できる方法とは?
年金受給ができる年齢になる頃には、クレジットカードやカードローンの利用可能年齢を過ぎてしまっていることがあります。年金の種類によって受給開始年齢は異なりますが、最も一般的な老齢基礎年金の支給が開始されるのは65歳からです。
65歳という年齢は、実は金融機関にとってもリスクの高い年齢です。収入が年金だけになってしまっていることが多く、支払い能力が低下しているという問題があります。それ以外にも健康に不安が出てくる年齢でもあり、もし契約者が死亡してしまうと、貸し付けていたお金の回収ができなくなってしまうこともあるためです。
各社契約できる年齢制限は違っているので、申し込みをする前に必ず確認しておきましょう。また、年金は差し押さえが禁止されているので、もし金融事故となってしまった場合に不良債権になるリスクも高くなっています。
では年金受給者がお金を借りる方法はないのでしょうか?
年金担保貸付
年金受給者は、年金受給権を担保に10万〜200万円のお金を借りることができる国の制度「年金担保貸付」を利用することができます。
これは独立行政法人福祉医療機構(WAM)や政策金融公庫に認められた限定的な制度です。
年金担保貸付は、国民年金・厚生年金保険年金証書、国民年金証書、厚生年金保険証書の年金証書を持っており、現在その年金の支払いを受けている人が対象となっています。
金利は2.8%となっており、カードローンよりもはるかに低金利で利用することができます。
しかし、返済は年金から返済分が天引きされることになるので、返済が始まると生活費が少なくなってしまいます。実際、生活がさらに困窮してしまい、生活保護を受給することになるケースも増えています。
金利がいくら小さいからと言っても、たくさん借りればそれだけ毎月の利息負担は少しずつ増えていくことになります。200万円借りて年金からの天引きで完済するのには、かなりの月日が必要となりますので、その間お金に困ることがないように生活を維持していかなくてはなりません。
また、融資開始まで1か月近くかかってしまいますので、すぐにお金が必要な場合には対応することができません。
リバースモーゲージ
リバースモーゲージとは、土地や家を担保にした高齢者向けのローンです。担保にした家に住みながら、銀行から月々の年金という形で融資してもらうシステムになっています。
対象となるのは満50歳以上の人で、家と土地を有していることです。
リバーモーゲージでは、自宅を手放さずに老後の資金を得ることができます。返済は基本的に利息のみでよく、契約者が死亡した場合、銀行が担保となった不動産を売却し、そのお金で元金を一括返済します。
また、住宅ローンが残っている場合は、リバースモーゲージに借り換えることで返済金額を減額させることもできます。
自宅に住みながら老後資金を得られ、契約者が死亡した後に残る不動産の処理も簡単になるなど、メリットは多くあります。
しかし、リバースモーゲージにはデメリットも存在します。
利用期間が長くなると不動産の価値が下がり、それが融資額以下になると差額を返済する必要が出てきます。また、融資極度額まで使用してしまった場合、それ以上の融資は当然不可能となります。
契約者が死亡後に担保となっていた不動産が売却されてしまうため、相続人に不動産を残すことができません。そのため、リバースモーゲージを利用する際は相続人からも同意を得る必要があります。その際、必ずしも話し合いがスムーズに行かないこともあります。
失業中でもお金は借りられる!自立に向けたワンステップ
無職ではカードローンやクレジットカードの契約をすることができません。無職でもパートやアルバイトで一定の収入があれば契約することはできますが、それでは再就職どころではなくなってしまうこともあります。
しかし無職であってもお金を借りる方法はあります。
契約者貸付制度
その一つは、生命保険の契約者貸付制度です。保険会社や生命保険の種類によって異なりますが、基本的に積立型の保険でないと対応していません。また、契約者貸付制度は、契約者本人のみが対象となります。
生命保険は解約すると払戻金が発生しますが、この払戻金を担保としてお金を借りることができ、借りられる金額は、解約払戻金の70%〜90%の範囲内となっています。
貸付利率は契約期間によってもことなりますが、一般のカードローンで借りるよりも低い場合が多いでしょう。生命保険に加入したのが金利の高いバブル期だった場合、貸付金利も高く設定されています。
この融資の最大のメリットは、審査なしでお金を借りることができる点にあります。無職であっても仕事をしている人でも、生命保険にさえ加入していれば利用することができるのです。融資開始はカードローンほど早くありませんが、1週間から1か月以内にはお金を借りることができるようになります。
便利な制度ですが、デメリットももちろん存在しています。一般的に契約者貸付は「複利」で計算されます。ほとんどのカードローンは単利です。
単利とは、元金にのみ利息がかかる計算方式です。一方複利とは、元金に対して発生した利息を払わずに翌年になった場合、翌年はその利息に対しても利息が発生するという仕組みです。複利の借り入れは払わずにいるとどんどんと利息が膨らんでいくことになるので、注意しなくてはなりません。
また、利息が膨らんでいくと、担保にしている解約払戻金の額を超えてしまうことがあります。なかなか返済が進まずに担保の金額を超え、督促状の期日までに支払いができなくなってしまうと、保険そのものが強制的に解約されてしまうことになります。
そうなると毎年税金での控除も受けられなくなってしまいますし、何かあったときに生命保険が下りなくなります。せっかく加入していた保険がこのようなことで失効してしまうのは非常にもったいないことですので、保険でお金を借りるときは注意しましょう。
総合支援資金
総合支援資金とは、失業者や低所得者が生活を立て直すことができるように支援する制度です。貸付と支援をすることによって自立し、生活を安定させて返済をすることができると判断されれば利用できます。
自力でどうにかしようとしてカードローンの契約をたくさんしてしまい、多重債務状態となってしまった人は利用することができません。
この総合支援資金からの貸付は低金利、保証人がいれば無利子で借りることができるので、借りた後の負担も小さくて済みます。
就職前だからこそお金が必要!工面する方法とは?
学生ローンの多くは無職では利用することができません。学生でもアルバイトをして一定の収入がないと、総量規制の対象に引っかかってしまうためです。しかし無職の学生でも卒業旅行や就職のための引っ越し準備などでお金はたくさんかかるものです。無職の学生でもお金を借りる方法はないのでしょうか。
内定者支援ローン
今現在が無職でも、内定をもらっていれば勤め先の確保と、将来の収入もある程度確保することができていると金融機関は判断します。そうした無職の学生が利用できるのが、内定者支援ローンです。内定者支援ローンは一般的なカードローンよりもかなり低い金利でお金を借りることができます。
利用するためには勤務先の立地などの条件もありますが、条件が非常に良いので、一般のカードローンよりも先に検討しておいたほうが良いでしょう。
ただし利用使途は自由ではありません。卒業旅行、自動車購入や免許取得、スーツの購入や英会話学校、新生活のための準備資金など、制限があります。カードローンではありませんのでカードは発行されず、最初に申し込みをした金額が融資されることになります。融資開始まで1週間から3週間程度かかりますので、申し込みは早めに行っておきましょう。
東京に就職する人の場合は東京都民銀行の大学卒業予定者ローンが良いでしょう。最高限度額は50万円で、金利は8.8%となっています。東京都民銀行を給料の振込先として指定する場合は、金利が優遇されます。また、大学新卒者が利用することができるローンですので、専門学生や短大生は残念ながら利用することができません。
こうした内定者支援ローンは各地にもありますが、例えば静岡ろうきんの就職内定者支援ローンの場合、東京都民銀行のように「大卒者」という制限がありません。18歳から30歳未満の人が対象となりますので、高卒の人も専門学生も短大生でも利用することができます。こうしたローンを申し込む場合は、必ず自分が条件に当てはまっているか確認してから申し込みをしましょう。
静岡ろうきんのローンでは返済期間が早いほど金利が低くなり、3年〜10年以内とすると3.7%になります。仕事を始めて返済もスタートしてしまうと、最初のころの収入が不足しがちですが、早めに完済を目指すことでその後は安定した生活をすることができるでしょう。
就職してすぐの生活に不安があるような場合は、内定をもらっているときしか利用できないこうしたローンを活用することによって、低金利である程度の資金を確保しておくこともできます。就職してからであれば簡単にカードローンやクレジットカードも契約することができるようになりますが、内定者向けローンと比較するととても高い金利になっているものがほとんどです。
免許の取得をサポートしてくれる目的型ローンを活用する
就職するにあたって免許が必要になる人もいるでしょう。全国各地にある信用金庫でも利用できるローンはあります。もともと信用金庫は非営利で運営していますので、銀行よりもローン商品の金利は低いものがほとんどです。
例えば「しんきんカーライフプラン」。このローンは収入のある人が対象ではありますが、内定者は例外として利用が認められています。1週間以内に融資を受けることができますので、就職までの間に免許を取りたいと思った時に、資金が無くて焦らずに済みます。
自動車関係の出費にしか使うことができませんが、高額な免許取得費用をローンでまかなえれば、卒業旅行の費用の捻出もできるようになるかもしれません。
信用金庫のローンは、基本的に住んでいる地域のものか、就職先の会社がある地域のものしか利用することができません。
信用金庫は地域密着型の金融機関ですので、自分の住んでいる地域の信用金庫に、利用できそうなローンがないか探してみましょう。また、就職後は返済が始まりますので、お金の使い方には注意が必要です。
まとめ
退職や失業によって無職になった人でも、何かしらの制度を利用すればお金を借りることができます。それぞれの制度にはメリットとデメリットがありますので、どの借り入れが一番自分にとって有利なのか判断してから申し込みをしなくてはなりません。
すぐにお金を借りることができるからといって、普通のカードローンの契約をしてしまうと、結果として高い負担を負ってしまうこともあります。
年金受給者であれば年金担保貸付やリバースモーゲージ、生命保険に加入している人は契約者貸付、失業中あるいは低所得者で自立が見込める人は総合支援資金、内定をもらってアルバイトを辞めたことで無職になってしまった人は内定者向けのローンなど、それぞれの状況に合わせた貸付制度が利用できます。他にもしんきんカーライフローンのように特定の分野への出費のみが認められるローンもあります。
お金を借りる先は、銀行や消費者金融だけではありません。無職でも利用できるさまざまな貸付制度があるのです。お金を借りる場合は、自分の状況と、返済をしていくことが可能かをよく考えてから利用するようにしましょう。
多重債務だと利用できない制度もあります。お金が必要だからと手当たり次第に借りていると、いざというときに借りることができなくなるので、十分注意しましょう。