アコムのCMは「はじめてのアコム」という可愛らしいメロディーで知られています。消費者金融に対して「暗い」「怖い」というイメージを持っている人はまだ多く、アコムは金利や利用額などの表記をギリギリまで出さない清々しい雰囲気のCMを作っています。
アコムのCMの歴史
アコムのテレビCMには数多くのタレントや女優さんが出演していますが、女性タレントとして最初に起用されたのは1982年の大場久美子さんです。その後も高木美保さんや渡辺真理さんなど数々のタレントを起用しています。
①「ららら、むじんくん」でブレイク
アコムのCMで有名なものと言えば、1996年に放送された「ららら、むじんくん」という歌で有名な宇宙人篇と呼ばれるシリーズでしょう。これは消費者金融業者でも画期的な試みだった無人の自動契約機の「むじんくん」を宣伝するためのCMでした。試みは大きな成功を収め、むじんくんという名称は消費者金融に縁のない人たちにまで浸透しています。
自動契約機むじんくんは、このCMで一般化したことによって利用者が激増したと言われており、数を増やして今では全国に1000台以上が設置されています。
CMの内容も画期的で、セイン・カミュさんが演じる宇宙人が「ららら号」という宇宙船に乗って地球にお金を借りに行くというものでした。「地球よってく?」という英語訛りの日本語で話す宇宙人は人気者となり、CDデビューも果たしています。
②有名タレント起用の歴史
アコムのCMの歴史は人気女性タレントの歴史でもあります。それまでの消費者金融業者のCMは、タレントとしての最盛期を過ぎた人がやるものと相場が決まっていましたが、アコムは他業者に先駆けて次々と時代の人気者を起用していきます。
評判が高かったのは2002年から登場したグラビアアイドルの小野真弓さんです。小野さんがアコムの女性社員を演じて、コールセンターで働く様子やお客さんと店頭で相談に乗っている様子を描くシリーズは、アコムのイメージアップにもつながりました。
小野真弓さんは男性向け雑誌のグラビアアイドルとして知られていましたが、このCMをきっかけに一気に知名度を高めています。「はじめてのアコム」という有名なキャッチフレーズもこのシリーズから登場しています。
2009年にはタモリさんがサラリーマン代表として登場するCMシリーズも数多く制作されました。
アコムがCMで伝えたいことって?
アコムはCM作りにこだわっています。会社としてだけでなく、業界全体のイメージアップを図るとともに、しっかりと視聴者に注目してほしい点をアピールしており、巧みに制作されたCMと言っていいでしょう。
①「初めてのアコム」
アコムのCMと言えば「はじめてのアコム」というキャッチーで覚えやすいフレーズが有名です。ここにはアコムの名前を視聴者に親しんでもらうとともに、消費者金融業者を利用したことのない人に安心して利用できることをアピールする目的があります。
このフレーズを何度も刷り込まむことで、最も精神的にハードルの高い「はじめてのキャッシング」にアコムを選んでもらうという意図があります。
キャッチフレーズを連呼するというのは広告では非常に良く用いられる手法です。CMの爽やかなイメージとともに、アコムでお金を借りるのは決して怖いことではないというイメージを持ってもらうという意図が感じられます。
②借入までスピーディ
アコムのCMには、野球やボウリング、ラグビーといったスポーツが多く登場します。一時期、ラグビーのCMに出演しているのがくりぃむしちゅーの有田さんではないかと話題になったこともあります。
アコムがスポーツを良く登場させるのにも一定の意図があります。それはスピードです。アコムの審査は最短で30分で済みます。振込でキャッシングすると、銀行の手続き時間内に融資契約まで完了すれば即日融資も可能です。
アコムはクレジットカードの発行もしていますが、通常なら2週間ほどかかるカードの発行でもアコムのACカードなら即日で受け取ることも可能です。野球やラグビーの持つスピード感とアコムのスピード契約は良くマッチしていると言えるでしょう。
③申し込みが簡単
消費者金融業者のなかで、スマホのアプリを採り入れたのはアコムが最初と言われています。まだアコムを知らない、使ったことがないという人でも、アプリをダウンロードすれば申し込みは簡単にできます。
必要書類もスマホのカメラで撮影したものを提出できます。そういった利便性をアピールする目的で、アコムのCMではスマホがたくさん登場します。
④業界唯一のクレジットカード発行会社
アコムが他の業者と比較して突出して有利なのは、業界で唯一クレジットカードも発行しているという点です。これは三菱UFJファイナンシャルグループの一員であるからこそ、可能なことでしょう。
アコムの発行するクレジットカードは、信販会社や銀行が発行するカードよりも審査が柔軟なとで知られており、しかも早ければ申し込み当日の発行も可能です。こういった手軽さや便利さを訴求するためのCMになっています。
⑤女性客の取り込み
アコムは女性専用のコールセンターを設けたり、公式サイトで働く女性向けのページを設置したりするなど、女性客の取り込みに積極的です。働く女性にも消費者金融に親しんで利用して欲しいという意図が感じられます。
「はじめてのアコム」というキャッチーなフレーズとともに、利用しやすさをアピールするといった多くの戦略が盛り込まれているのが、アコムのテレビCMです。
意外と規制が多いアコムのCM
アコムの宣伝はテレビCMだけでなく、雑誌や電車の車内広告など多く目にします。見慣れた光景ですが、実際にはアコムなど消費者金融業者の広告には厳しい規制がかかっており、各社それに従っています。
①誇大広告への規制
アコムのCMを良く見てみると、しっかりと商号や名称、金利などをアピールしていることが分かります。これは貸金業法でしっかりとルール化されており、必ず表示することとされています。
また、利率や貸出条件について誇大な広告をしてはならないとされています。かつては、適用される最低金利を大きめに表示して目立たせ、実際に適用される高めの金利は小さめに表示していましたが、それも誇大広告にあたるとして、最低金利と最高金利を同じサイズで表示するようにしています。
借り主の返済能力を超えた貸付を防止するような広告である必要もあり、借入が簡単と誤解させるような表示も禁止されています。
②放送時間帯の規制
かつては、アコムは多くのCMをテレビで流しており、工夫を凝らしたものも多く制作されていました。コミカルな内容にして金融機関とは思えないCMなども流されていましたが、近年ではこうしたCMは制作されないようになっています。
アコムは大手であり、三菱グループの一員でもあるため、消費者金融業者らしさを失わないレベルの控えめな演出になっています。
また、子供がテレビを視聴する時間帯にはアコムであっても宣伝を流すことは禁止されています。午前7時から9時、および午後5時から午後10時の間です。また、午前0時までの間は本数を控えるというルールもあります。
午前0時過ぎの深夜バラエティなどで数多くのアコムのCMを見かけるのは、こうした事情があるのです。
③最後に必ず言うアレは何?
アコムのCMでは、最後に必ず「無理のない返済計画を」と言っています。他の消費者金融業者のCMでも似たような表現が必ず最後にアナウンスされます。これも規制のひとつで、日本民間放送連盟の定める放送基準の第17条に、安易な借入を助長する表現をしてはならないとされています。
CMの目的は利用者を増やすことであり、利用している人はもっと活用してもらうことですが、消費者金融に限ってはあまりに借入を勧めるのは厳禁です。また、借りたら必ず返済の義務が待っていることを知らしめる必要性があります。
それに配慮して、アコムでは「返済計画」という言葉を使って利用者に注意喚起しているのです。
まとめ
アコムのCMは消費者金融業者のなかでは明るいイメージのあるものです。あまりコミカルすぎず、かといって真面目過ぎないという絶妙なバランスで制作されています。厳しいレギュレーションもクリアしており、良く出来たCMと言っていいでしょう。